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【指定難病】介護保険の自己負担額に対する公費助成(法別番号54)について

指定難病公費助成

この記事でわかること

  • 指定難病の公費助成制度の概要
  • どれくらい費用軽減されるのか
  • 対象となる介護サービス
  • 介護保険と医療保険の優先順位について

介護保険と指定難病の公費助成制度の関係ってすごく分かりにくいですよね。

公的な介護保険サービスの中には、訪問看護や居宅療養管理指導、リハビリといった医療系サービスが存在します。

指定難病の人が、そういった医療系サービスを利用した際に、その自己負担額を助成をしよう!というのがその趣旨なのですが、介護保険、医療保険、指定難病制度、それぞれの分野にまたがる話なのでとても難しいのです。

そこで今回は、介護保険と指定難病の公費助成制度の関係について、なるべくわかりやすく、ざっくり解説していきたいと思います。

指定難病の公費助成制度とは

指定難病とは「難病の患者に対する医療等に関する法律」いわゆる「難病法」に基づいて指定されている治療方法が確立されていない病気を指します。

治療方法が確立されていないということは、長期的に治療費がかかることが予想されるため、その経済的な負担を軽減するために、指定難病にかかる医療費については公費(税金)を使って助成をしますよ!というのが制度の目的です。

法別番号54とは

タイトルにもある法別番号とは、社会保険や公費を使った医療助成制度ごとに振られている番号のことで、難病制度が54番というだけです。他の例を挙げると生活保護の医療扶助は12番です。

指定難病の公費助成制度を受けられる人は「特定医療医(指定難病)医療受給者証」というものを持っていますが、この中の「公費負担者番号」という欄を見てみると8桁ある数字のうち、先頭2桁が54になっているはずです。

もっと詳しく

難病の公費負担者番号「54〇〇〇〇〇〇」

34桁目は都道府県番号、567桁目は実施機関番号、8桁目はチェックデジット

このように公費を使った医療助成制度は、受給者証の公費負担者番号の頭2桁を見ると、何の制度に基づいて割引をすればいいかがわかるようになっています。

指定難病の種類

執筆している令和元年5月時点で300を超える難病が指定をされています。

介護の分野で多い病気の例をあげると次のようなものがあります。

  • 悪性関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • パーキンソン病
  • 多系統萎縮症
  • プリオン病
  • 広範脊柱管狭窄症
  • 脊髄小脳変性症

上で例に挙げた8つの疾病は、介護保険制度で40歳~64歳の2号被保険者が、要介護認定を受けるための要件である16の特定疾病の中にも位置付けられているものです。

自己負担額がどれくらい安くなるのか

指定難病の患者の医療費が全部タダになるわけではありません。

所得等に応じて自己負担してもらう上限が決められています。

条件はもっと細かいですが、例をあげると、

  • 生活保護なら無料
  • 住民税非課税で年収80万円以下なら月額上限2,500円
  • 住民税非課税で年収80万円超なら月額上限5,000円
  • 住民税課税で税額71,000円未満なら月額上限10,000円
  • 住民税額71,000以上251,000円未満なら月額上限20,000円
  • 住民税額251,000円以上なら月額上限30,000円

といった感じです。

事例自己負担の月額上限5,000円の人が、15,000円分の医療費(介護の医療系含む)の自己負担がある場合には、上限をオーバーしている10,000円分が助成されるという仕組みです。

自己負担額の管理

指定難病の公費助成を受ける場合、上で説明したとおり所得に応じて一定額までは自己負担が生じます。

そこで、月額上限を管理するために「自己負担上限額管理表」というものが存在します。

これは、その月に受診した医療機関を記録していく管理表で、何日にどこの病院を受診して、いくら費用がかかったのかを記録していく用紙になります。

医療機関は管理表を基に、その月の自己負担累計額が上限に達するまでは自己負担額について費用徴収を行い、自己負担累計額が上限に達したところからは費用徴収をせずに、公費の実施機関(保険者)に請求することになります。

対象となる介護保険サービス

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 介護療養施設サービス
  • 介護医療院サービス
  • 介護予防訪問看護
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 介護予防居宅療養管理指導

介護保険と医療保険の優先順位に注意

指定難病の公費助成制度に直接的にリンクする話ではありませんが、医療機関側としては保険間の適用順序にも注意する必要があります。

介護保険と医療保険で同じサービスがあれば介護保険が優先されます。

例えば、看護師が居宅を訪問して療養看護等を行う「訪問看護」は、介護保険にも、医療保険にも相当するサービスが存在するので、両保険の受給資格がある人が訪問看護を利用する場合は、原則的には介護保険を使うことになります。

ただし、原則というからには例外もあり、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する人は、両保険の受給資格がある場合でも医療保険を利用することになります。

選択制ではなくて、原則に反して医療保険を使わなければいけない場合があるのです。

注意ポイント

【例外的に医療保険優先となる疾病の例】
末期がん、多発性硬化症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、筋ジストロフィー症、多系統萎縮症、ライソゾーム病、など(指定難病でないもの有り)

最後に

指定難病の公費助成制度のわかりにくい部分は、その月の受診状況によって自己負担額の支払いの有無が医療機関ごとに異なる上限管理のややこしさと、介護保険と医療保険の適用順序を正確に理解し、どちらの保険を使うのかを判断しないといけないところにあります。

こういう制度関係はもっとシンプルにならないものかと常々思いますね。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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