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特別養護老人ホームでの介護の仕事内容や実態は?現職の介護士にリアルな現場を聞いてみた!

特養の仕事に密着

きつい仕事の代表格として挙げられることもある介護の仕事。

介助は肉体労働なので肉体的にきついのはもちろん、人の命に係わる仕事でもあるので、精神的にもきつい面がある大変なお仕事です。

ただ、漠然と大変なイメージを持っていますが、具体的に「何をしているのか」については意外とわからないですよね。

そこで今回は、特別養護老人ホームで実際に働いている仮称Aさんに、リアルな現場の情報を教えてもらいたいと思います。

ボリュームがあるので、「現職の介護士に聞いてみた」シリーズと題して、2回にわけてお届けします。

当記事では、特別養護老人ホームの1日の仕事内容や実態について、Aさんに聞いたお話をお伝えします。

勤務先について

勤め先の情報や勤務形態について教えてもらえますか?

私が勤務しているのは特別養護老人ホームです。

施設の規模はベッドが100床に対して、時短勤務の者も含めて職員が約50名。

職員の構成は、他の事業所と比べ男性が多いのではないかと思うのですが、男女比が6:4くらいです。

年齢層は20代から60代ですが、平均すると45歳前後になります。

勤務形態はシフト制で、日中勤務は7時から19時半まで、夜間勤務は17時から9時半までです。

月に5回くらい夜勤がありますね。

仕事内容の実態について

1日の具体的な仕事内容について教えてください!

では、1日の流れに沿って、具体的な業務内容と気をつけていることなどをお伝えしたいきたいと思います。

介護の仕事は、人の日常生活を支える仕事でもあるので24時間体制です。

途中、シフト交代による人の入れ替わりなどがありますが、要介護者の起床時点から順番にお伝えしていきます。

起床の介助と朝食前の準備

【6時頃から7時半頃まで】
利用者の起床後、更衣、洗面を行い、食堂に移動する介助などを担当居室の全員に対して行います(自力で行える部分は除く)。

私の担当居室は20名になりますが、フロアによっては25名や30名を受け持つ場合もあります。

それぞれ、やる気や行える範囲は人ごとに違いますし、同じ人でも日によって変わったりするので、どこまでお手伝いをするか見極めなければなりません。

また、立ち上がりができて、身体が比較的動く方でも、足元が不安定である場合などは、安全も考慮しながら一連の介助を行う必要があります。

無理をして焦ると転倒などの事故に繋がるリスクがありますが、早くしなければ朝食に間に合わないという状況下で、冷静沈着かつ迅速に援助を行うのは難しく、何度やっても大変です。

複数の利用者に対して、介護職員の体は1つしかありませんし、イレギュラーなことが起こり、焦りなどの感情が入ってくると本当に大変です。

起床関連の業務が終わると、朝食前の準備としてお茶やおしぼり、食事エプロン等を配り、必要に応じて口腔体操やアイスマッサージなどを行い食事に備えます。

ここまでを夜勤職員1人で行なっています。

朝食介助

【7時半から】
7時半に日中勤務の早出の職員が出勤してきます。

施設によって時間は前後すると思いますが、私の勤務する施設の朝食は7時半に調理担当から上がってきます。

調理担当から上がってきた朝食をワゴンから配膳し、食事介助に入ります。

食事介助は、単に食事を口に運んでいるだけではなく、とても気を遣う介助です。

中には口を開こうとしない人もいます。

そのような人にどのように口を開いてもらうのか技術が必要になります。

摂食の動作が長時間に渡ると、疲れから嚥下(飲み込み)状態も悪くなります。

また、嚥下状態は体調によっても変化もします。

嚥下状態が悪化すると、普段は問題無く摂食出来ている形状のものでも詰まらせるリスクが上がります。

私は、特養と前職のグループホームを合わせて10年ほど介護職員をしておりますが、食事を詰まらせた事による事故を何件も見てきましたし、そのうち何名かはお亡くなりになっています。

詰まらせるリスクがあるのは、食事介助が必要な人だけではありません。

自分で食べられる方でも、詰まらせてしまう事はあります。

口を開かない人に対しても、食事を詰まらせないように、いかに食事を苦痛なく楽しんでもらえるか、介護職員の腕の見せ所であると共に、集中して気を配らないといけない場面でもあります。

口を開こうとしない人に自分から口を開けてもらえた時には、喜びとやりがいを感じられます。

よく観察してパターンを見出すなど、色々な工夫が必要です。

トイレ誘導、オムツ交換、入浴介助、水分補給、レクリエーション

【朝食後から12時まで】
朝食が済むと、順番にトイレ誘導を行い、排泄介助が始まります。

トイレ誘導が済むと、そのまま休む人やオムツの人にはベッドに横になってもらい、必要な方のオムツ交換に回ります。

朝食後にトイレ誘導を始めて、オムツ交換が終わる頃には、9時半頃になっています。

ここまでを夜勤者と日中勤務の早出で行います。

そして、夜勤者は勤務が9時半までなので、ここで勤務終了です。

ここまでは担当居室の利用者の対応を行いますが、ここから先の入浴やレクリエーションなどは、日によって受け持ちの担当が異なります。

同じ人に負担が偏らないように、また満遍なく業務内容に当たるようにするため、入浴介助に当たるのは誰、レクリエーションを行うのは誰、という具合にローテーションで指定しています。

また、随時、排尿パターンに合わせ個別にトイレ誘導を行なったりするほか、職員側には11時に早出の休憩時間があります。

そして、11時半頃から、朝食時と同様に横になっている人には起きてきてもらい昼食準備に入ります。

昼食介助

【12時から13時半まで】
早出が休憩から帰ってくるので、日勤が休憩に入ります。

朝食時と同様のことに気を配りながら昼食の介助をして、順番に排泄介助もした後に、休む人たちはベッドに横になる介助をしていきます。

オムツ交換、入浴介助、おやつ、レクリエーション、ゴミ集め、シーツ交換

【13時半から17時まで】
この時に遅出が休憩に入ります。

13時半からは、入浴介助、ゴミ集め、シーツ交換、オムツ交換などの業務がありますが、午前中と同様に、誰がどの業務を行うのか不公平感がないようにローテーションで指定しています。

介護の仕事特有ではないと思いますが、不公平感を感じるとすぐに陰で人を口撃する人もいます。

やはり、大変な仕事なので、特定の人に負担が偏らないようにすることは重要です。

また、午後からの入浴介助は、人数も午前中より多いので、途中で交代しています。

夏場の入浴介助は、浴場が熱気で蒸し風呂の様になるので、体力的にきついです。

レクリエーションは、恥ずかしがって苦手とする利用者の方がいますが、実は職員側にも苦手な者はいます。

実は私もレクリエーションが苦手なんです。

利用者が乗ってきてくれない時も当然ありますし、みんなが楽しくレクリエーションを満喫するのはなかなか大変です。

そのほか、トイレ誘導、おやつの介助、コール対応などの仕事もあります。

夕食前の準備と夕食の食事介助、トイレ誘導、就寝介助、掃除、記録

【17時から19時半まで】
夕食前の準備と夕食時の介助、トイレ誘導は朝食や昼食と同じ流れです。

排泄を済ませてもらった人から順番に就寝ケアに入ります。

洗面・更衣後にベッドに横になってもらい、消灯して回ります。

この時点で大体18時半くらいになり、日勤者が勤務終了になります。

ここから1時間は、フロアや洗面台の掃除をしたり、記録を作成したりしています。

巡回、オムツ交換、薬の対応、緊急時の対応、電話応対、記録の作成

【19時半から翌朝6時頃まで】
19時半になると遅出が勤務終了になり、夜勤者だけになります。

夜間の緊急対応と電話応対は、滅多にありません。

定時の巡回とオムツ交換、薬を希望する人に服用してもらい、間に記録を作成します。

みんな朝までぐっすり寝てくれると良いのですが、全員朝まで何もなくゆっくり出来た夜勤というのは数えられる程の回数しかありません。

夜は長く利用者の数も多いので誰かしら何かがあります。

夜勤で大変なのは、転倒リスクの高く認知症状もある人が、眠れずに一晩中ガサガサする場合です。

ケガを完全にしないようにする為には、拘束するしかありませんが、身体拘束は簡単にしていいものではありません。

身体拘束は尊厳を傷つける行為なので、切迫性・非代替性・時限性がそろった上で、拘束中の言動などを詳細に記録した介護記録も残さなければ厚生労働省令に抵触し、行政指導の対象になります。

最悪の場合は事業所の指定にも関わることなので慎重な判断が必要です。

また、身体拘束を行うと利用者全員分の介護報酬が減算されます。

つまり役所から施設へ給付される金額が減るのです。

そして何より、拘束される利用者自身の尊厳や精神状態を考えると、よほどの事態でないと難しいです。

かといって、他の利用者の対応や様々な事情もあるなか、特定の人に常に付きっきりになる訳にはいきませんし、夜勤者も騒ぐ人の相手を1人でしていると精神的に参ってしまいます。

日中にせよ夜間にせよ、徘徊センサーが鳴った時やナースコールなどは随時対応する必要があります。

まとめ

いかがでしょうか?

特養での具体的な仕事と1日の流れが見えたのではないでしょうか。

今回ご協力いただいたAさんは、他にも介護の仕事の実態として、「転職理由、特養の給与手当、休日事情、残業、やりがい、資格の必要性など」気になる疑問に答えてもらいました。

別記事でご紹介しているので、そちらも是非参考にしてください。

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