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特別養護老人ホームの仕事のやりがいや給料は?未経験でも大丈夫?現職の介護士に質問してみた

特養のやりがいや待遇

「現職の介護士に聞いてみた」シリーズ!

今回は、特別養護老人ホームで現職の介護士として働いている仮称Aさんに、介護業界の実態に迫る質問をしてみました。

介護の仕事といえば、とても大変できついイメージですが、給料や有給取得といった福利厚生面のほか、働く上でのサポート体制など、仕事をする人にとって気になる点について、リアルなお話を伺いました。

介護業界で働いて10年になるAさんの貴重なお話をQA方式でお届けします。

介護業界で働きはじめた理由は?

どうして介護の仕事をはじめたのでしょうか?

私はもともと、観光系の専門学校を卒業した後に、2年程度ホテルマンをしていました。

ホテル業界と聞くと、華やかなイメージをお持ちかと思いますが、一歩裏に入ると怒号の飛び交う、厳しい縦社会です(あくまでも私の居たホテルでの話です)。

過労死した人が過去にいたり、つけているだけでも残業が80時間を超えて肉体的に限界であったことに加え、特定の上司からの嫌がらせなどにより精神的にも疲弊したこともあり退職を決意しました。

退職後、レストランのアルバイトなどで半年ほど過ごし、そろそろ真面目に考えないといけないと思っていた時に、景気に左右されず縮小しそうにない業界で、人を相手にする仕事を探していたところ、たまたまハローワークの新着求人で、開設半年のグループホームを見つけました。

同じ介護でも、資格の保有を応募要件にしている所も多い中、この事業所は無資格、未経験可であったのも大きかったです。

転職理由は?

なぜグループホームから今の特別養護老人ホームへ転職したのですか?

理由は2つあります。

1つ目の理由は、会社の赤字による事業整理にあります。

介護業界は拡大傾向といっても競争も厳しい世界で、倒産する事業所は増加しています。

グループホームの運営会社が、別で手掛ける介護事業所が赤字となり、事業整理が行われた結果、施設長が変更となったことを契機に人間関係がぐちゃぐちゃになってしまいました。

収益第一主義となり、食事はほぼ全て宅配の冷凍を解凍するだけのものとなったり、多くの職員が去っていきました。

この施設長のもとでは、やっていけないと思ったことが1つ目の理由です。

2つ目の理由は、将来に不安があったからです。

グループホームで4年以上勤めましたが、1つ目の理由もあり、この職場では介護士としてステップアップできないと思ったのと、待遇面で生活できない状況になったことが重なりました。

給料は、税込み年収が250万円弱で昇給・賞与はなし。退職金もありませんでした。

ちなみに、グループホームが一律に給料が低いわけではないです。あくまで私の勤めていた事業所が低かったということです。

以上、2つの理由で、現在の職場である特別養護老人ホームへ転職しました。

給料や手当について

待遇のお話が出ましたが、今の職場の給料や手当について教えてください!

現在は450万円程度で年1回の昇給・賞与年2回と退職金もあります。

月額の給料は税込み32万円程で手取りにして25万円程です。

ボーナスは年2回、私の場合は42.3万円くらいずつで、手取りにすると34万円くらいになります。

これは基本給によって変わるので個々人で少しずつ異なります。

毎月の手当の種類は、特殊勤務手当・扶養手当・資格手当・夜勤手当・通勤手当・役職手当です。

  • 特殊勤務手当は、基本給の25パーセント
  • 扶養手当は配偶者が1万5千円、子供が6千円
  • 資格手当は介護福祉士と実務者研修修了者が7千円、初任者研修修了者が3千円
  • 夜勤手当が1回5千円
  • 通勤手当は距離により異なる(私は5千円弱)
  • 役職手当はリーダーが5千円、係長が1万円、課長以上クラスは未公表

これ以外に、法定の割増率で計算された残業手当、年末年始勤務手当(12月30日~1月3日)が出勤1日につき4千円です。

残業について

サービス残業はないですか?

休日に会議が重なった場合などは、きちんと法定の割増率で計算された残業代が出ます。

休日でなくても就業時間後にあたる場合は同様に残業代が出ます。

ただ、毎月そのような事があるわけではなく、年1回の重要な会議や、所属するユニットの会議などで3カ月に1度あるかないか程度です。

残業代の不支給は、労働基準法に違反しており、労働関連法に違反があると介護職員処遇改善加算(介護報酬の1つ)を算定できません。

そのようなことになれば人員の定着にも問題が出てくるので、そのようなリスク回避の意味もあるようです。

企業としてのコンプライアンスの観点と、働きにくい環境を作ってはいけないという理由で、サービス残業はありません。

就業時間を過ぎて滞在していると「早く帰るように」と役職者からの注意があります。

休日や有休取得について

休みはどれくらいありますか?

休日は月に9日で、年にひと月だけ10日あります。

それ以外に、年間の有給休暇が10日前後くらい消化できますので、合計で120日前後の休日がある計算です。

特養は24時間365日のサービスなので、お盆や正月などの長期休暇はありません。

正月は年末年始勤務手当が支給されるので、逆に出勤したがる人が多いです。

長期休暇はありませんが、年に1度、誕生月に3日有休を指定できます。

有休はこれ以外に2カ月に1日位シフトに入れてくれています。

冠婚葬祭は1日~5日間、特別休暇になります。

待遇も破格であるのもあって、転職したいと思った事はありません。

やりがいや大変なこと

介護の仕事のやりがいや大変だったことを教えてください!

介護の仕事をしている上で大変だと思うのは、介護職員というのは、利用者の利益を考えて動くと、手間が増える利益相反の仕事であることです。

楽をしようとする人はどの事業所に行っても居る様で、外部研修で顔見知りになって話をすると、大概そのような話になります。

また、1人利用者の為に動こうとすると、目立つので目を付けられたりもします。私はこれで何人も敵を作りました。介護職として腐るよりはマシかなと思い、今もその姿勢は貫いています。

だって、自分や近親者が要介護者だったら、誘導すれば失敗無くトイレで排泄できるのに、誘導を減らすためにトイレに行ける人にオムツを巻いたり、シーツが汚れていても「まあこれ位だったらそのままで良いか」とか嫌ですよね。

でも他人だから、倫理観が欠如している介護職員も多々いるからするんです。

こういった人たちと真面目に仕事をしながら、腐らず利用者の生活の質を守るのははっきり言って大変です。

でもちゃんと、利用者の生活の質を守っているとやりがいもありますよ。

認知症で暴力行為があり、トイレなんて行けないオムツ使用の人がいましたが、信頼関係の形成から始めて、受容して、根気強くトイレ誘導を諦めなかったら、「兄ちゃん、トイレ」と言ってくれました。

この時は正直少し驚きながらもトイレ誘導すると、ちゃんとトイレで排泄しました。

その後は私には尿意を訴えるようになり、最後には排尿パターンを掴むに至りました。

また、別の例では、自宅への帰宅願望が強く、職員からは嫌われ、周囲の高齢者からも嫌われ、余計に帰宅願望が強くなる悪循環に陥っていた利用者がいました。

この利用者に強く介入して、特養の中での役割を持ってもらい、そのことに感謝を伝えて、気分を上げるようにすると、帰宅願望が消えただけでなく、他の作業も手伝おうかと自発性の向上に繋がった例もありました。

10年も介護職をしていると、いくらでもエピソードが懐かしく思い出されるようになります。

このような利用者の生活を守る小さな成功体験を喜べるか否かで、介護職員の仕事人生の質や楽しさは全く異なってきます。

これが出来ない人は、何かにつけ文句や陰口で毎日を過ごしているように見受けます。

もし、介護の仕事がつらいと思っていたり、これからの就職に不安があるのなら、どんな小さな成功体験でも良いので、それを喜べる心境になるのを目指されても良いかもしれません。

研修制度について

研修などでステップアップできる機会はありますか?

外部研修・内部研修共に不定期ではありますが、参加させてもらっています。

内部研修は、ベッドの除圧や安楽な姿勢、口腔内の清潔保持について、力任せでない介助の為のボディメカニクスなどがありました。

講師役として外部研修で得た知識を伝えるのに職員が当たる事もあれば、外部から講師を呼んで行う事もあります。

また、内容が深い場合は、1回ではなく3回程に分けて行う事もあります。

これらはどれも利用者の生活の質や、職員の腰痛予防等に直結している内容なので役に立っています。

外部研修は、病院が行っているもの、都道府県が行っているものなど様々です。

内容は、頭部外傷の対処の仕方、認知症について、救急救命について、喀痰吸引等研修、認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修などがあります。

未経験でも大丈夫?

介護の仕事が未経験でも働けるものでしょうか

もし、これから特養で働こうとしている人がいれば、「未経験では務まらないかも」と心配する必要は無いです。

時として経験よりも感性の方が余程大事であるからです。両方持ち合わせているに越した事はありませんが。

経験が接遇の邪魔をしている人もいますので、変に自信過剰であったり、頑固であったりするよりは、経験が無くても利用者に寄り添える人間性の方が大事です。

サポートしてもらう時は、相手を推し量りましょう(介護観や信用しても大丈夫かどうか)。

中には心無い介護職もいて、サポートを買って出ておきながら「させられた」や「〇〇もできていない」等を周りに吹聴する人に会ったこともあります。

また、早さだけを追求して、利用者の為になっていない。更には害と言っても過言ではないような自分のやり方を、教えてくる人もいます。

自分の信念を持って、人を見る目を養うことも重要です。

資格について

資格がなくても働けますか?

資格を持っていないと心配する人もいらっしゃるかもしれませんが、訪問介護と違い、特養で働く上で差し迫って何か資格が必要なわけではありません。

しかし、1.2年程度の腰掛けとなれば別ですが、資格は持っておいて方が、待遇差や普段の業務における知識量の違いからして、仕事の質に影響が無いとは言えません。

初任者研修修了者や介護福祉士であれば、どこの事業所でも資格手当を支給しているでしょう。

私の働く特養では、資格は取得していないと採用していないというわけではありませんが、介護福祉士を取得している方が良いです。

介護福祉士と、実務者研修修了者で同額の資格手当を支給しているのですが、介護福祉士を正社員の条件にしているのです。

私の働く事業所では、正社員のみに特殊勤務手当を支給しており、毎月の給料が数万円異なりますし、ボーナスも正社員以外の人には3万円程度の寸志しか支給していないので、年収で100万円位待遇差が出ることになります。

私は前事業所で介護福祉士を取得しているのですが、家で毎日3時間程度問題集に打ち込んで、間違える傾向を見出し、その苦手分野を徹底して克服するという勉強スタイルで臨みました。

勉強した期間は試験前の5カ月程で、使用したのは参考書2冊と問題集が3冊でした。

最後に

いかがでしたか?

やはりリアルな現職の話は面白いし参考になりますね。

実は今回の「現職の介護士に聞いてみた」シリーズ特養編、ボリュームが大きすぎて、2部構成になっています。

もう一つの記事では、特別養護老人ホームの1日の具体的な業務内容について、まとめているので、ぜひ参考にどうぞ!

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貴重なお話を聞かせてくれたAさんありがとうございました。

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