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介護保険の住宅改修の上限20万円をリセットする2種類の方法!

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原則1回20万円の例外!3段階リセットと転居リセットとは?

介護保険による住宅改修費の助成の枠は、原則として一生涯に一度20万円が与えられます。

しかし「介護の必要の程度が3段階以上あがった場合」と「転居した場合」には、その20万円の枠がリセットされるという介護保険上の制度があり、通称「3段階リセット」、「転居リセット」と呼んでいます。

3段階リセットについては1人1回までですが、転居リセットは介護保険被保険者証の住所の変更(=住民票の異動)手続きを行うなどの条件を満たすことで、制度上は何回でも利用できます。

3段階リセットとは?

初めて住宅改修対象費が支給された住宅改修の着工日の要介護状態区分を基準として、次表にあるように「介護の必要の程度」の段階が3段階以上上がった場合には、その枠がリセットされ新たに20万円までの支給を受けることができるという制度です。

段階対応表

例えば、要介護1(第2段階)から要介護4(第5段階)に上がった場合は3段階リセットされます。要介護2(第3段階)から要介護5(第6段階)に上がった場合も3段階リセットされます。しかし要支援1(第1段階)から要介護2(第3段階)に上がった場合は2段階しか上がっていないので3段階リセットされません。

要支援2と要介護1が同じ段階であることがポイントですね。

リセット表

初めての住宅改修の着工日時点で要介護3以上の場合は、3段階以上の上り幅がないのでリセットは使えません。

3段階リセットの事例

3段階リセットについて具体的な金額を見てみましょう。

例えば要介護度1で限度額20万円のうち14万円を利用して住宅改修工事をしたBさん。限度額が6万円残っている状態で要介護度が4に上がったので3段階リセットを受けました。この場合、新たに20万円が上乗せされて限度額が26万円になるのではなく、新たな限度額は6万円から20万円となります。

3段階リセットのポイントと注意点

要介護度は必ずしも上がる一方ではなく、下がる場合もありますが、3段階リセットを受けられるのは1人1回限りです。例えば、要支援1の時に最初の住宅改修工事をして助成を受けたAさんが、その後要介護3となったため3段階リセットされ、再度20万円枠を受けられるようになり、もう一度住宅改修工事を行ったとします。

その後、Aさんの要介護度が2に低下し、さらにその後要介護5に上がったとします。この場合は3段階要介護度が上昇していますが、2回目の3段階リセットが適用されることはありません。

ポイントは「初めての住宅改修の要介護度から3段階以上あがった時に1回限り」というところです。

そして厳密にいうと、3段階上がった時点で再度住宅改修を行わないとリセットとなりません。

どういうことかと言うと、上記事例でAさんが要支援1の時に住宅改修をした後、要介護3の時点では3段階リセットの要件は満たしているが住宅改修はしなかった場合、その後要介護2に下がった時点で住宅改修はできないのです。

比べる点は「初めて住宅改修をする時点の介護度」と「再度の住宅改修をする時点の介護度」です。過去に3段階上がっていた時期があったとしても、改修をしたい今時点で3段階以上上がっていないとリセットは認められないので注意しましょう。

3段階下がった場合は?

先の例では、3段階上がった後に下がって、再度3段階上がった場合でも、リセットは1回限りなのでダメという話でしたが、単純に3段階下がるだけの場合はどうでしょうか?

交通事故によって要介護状態になった場合などでは、回復が見込めることがあるので可能性としてはあり得る話です。

例えば、要介護3のときに初めての住宅改修を行い、その後、要支援1まで状態が回復したときにリセットが適用できるかという問題です。

要介護3の状態と要支援1の状態では、身体機能、生活動線なども変わってくるので、再度工事が必要なケースはあり得ると思いますが、3段階下がった場合にはリセットは適用されません。

住宅改修費の上限額の算定方法については、介護保険法施行規則に定められていますが、その例外である3段階リセットの取り扱いは、「介護の必要の程度が著しく高くなった場合」と明記されています。

転居リセットとは?

次に、もう一つのリセット方法である「転居リセット」についてです。

利用者が転居した場合は、転居前の住宅への住宅改修費の支給状況とは関係なく、転居後の住宅で20万円の限度額で住宅改修費の支給が受けられます。

その後、以前住んでいた住宅に戻った場合は、転居前の住宅への支給状況が復活します。3段階リセットは元の住宅の住宅改修工事の着工日の要介護度を基準として適用されます。

しかし、単に引越しをするだけでは限度額はリセットされません。利用者の「介護保険被保険者証」に記載されている住所が基準となるので、住所変更の手続きを済ませていない場合や別荘などの住所変更の手続きを要しない場合は転居リセットは適用外となります。

転居リセットの事例

A住宅からB住宅へ転居し、A住宅に戻ったTさん

Tさんは要支援2の時にA住宅で初めての住宅改修を14万円分行いました。その後、6万円分の限度額を残したままTさんはB住宅へと転居しましたが、その時には要介護2へと上がっていました。ここで転居リセットが適用されて、転居先のB住宅で20万円の限度額で住宅改修の補助が受けられることになったので、限度額全て20万円を1度に使って住宅改修を行うことにしました。

その後要介護度が2と変わらないままもともと住んでいたA住宅に戻ることになりました。A住宅に対してはかつて14万円分の工事助成がすでに一度行われているので、転居リセットは適用されません。転居前の状況を基準とすると介護保険での住宅改修補助として利用できるのは6万円までです。そこで、Tさんは6万円分の追加工事を行ったので限度額は0円になってしまいました。

その後月日が流れ、A住宅で生活を続ける中でTさんの要介護は2から5に上がりました。よって3段階リセットが適応され、A住宅に対して再度20万円を限度額とした工事の助成が受けられるようになりました。

なんだか算数の問題みたいになってしまいましたね(笑)

少し複雑な話になりましたが、3段階リセットと転居リセットについての解説でした。

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