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【ケアマネ試験講座~第1回】介護保険制度の創設

このブログ講座はケアマネ試験の合格を目指す方のために執筆しています。

順番に読んでいってもらうと、出題範囲を網羅でき、過去問や解法にも触れながら重要ポイントを中心に必要最低限の知識が効率よく身につくような設計です。

逆にいえば、重要ポイント以外は省略しています。重要度を「大(過去問に頻出)」「中(過去問に出た)」「小(出題ほぼなし)」で分類したときに「小」を省略しているイメージです。

このブログ講座と過去問だけでも合格を目指せますが、ケアマネ試験は範囲が広いので、重要ポイント以外やもっと細かい点まで掘り下げて勉強されたい方は、詳しい参考書やスクールで勉強してください。

このブログ講座は、すきま時間にでも予習復習のために見ていただけたら嬉しいです。

いずれにせよ過去問は必ずやってくださいね。

それではさっそく第1回目の講座をはじめましょ~!

第1回目のテーマは「介護保険制度の創設」について。

なぜ介護保険制度を作る必要があったのか、順番に確認していきましょう。

介護保険制度が作られる前の問題点

2000年(平成12年)に介護保険制度が作られる前は、「介護」については老人福祉制度が、「医療」については老人医療制度が高齢者を支えていました。

老人福祉制度と老人医療制度は、それぞれの間で役割分担や調整ができておらず、格差や不便なところが出てきたのが見直しのはじまりです。

老人福祉制度の問題点

  • 措置制度のためサービス選択ができない
  • 所得調査があり、心理的に使いづらい
  • 市町村が直接または委託で行うため内容が画一的
  • 財源が保険料ではなく税金なので制度の持続性に不安
  • 所得に応じて費用が決まる応能負担なので中高所得者の負担大

措置制度とは「Aさんは家にヘルパーを派遣します!Bさんは特養に入所してください!」というふうに、市町村がサービスを決めてしまうことです。

老人福祉制度は「税金」と「利用者の応能負担で徴収する費用」を財源に運営されていました。

用語説明と覚え方

応能負担:所得に応じた利用者負担(支払い力)[br num="1"]応益負担:利用したサービスに応じた負担(サービス受

ここで過去問を確認してみましょう。○×です。

過去問(第13回出題)[br num="1"]介護保険制度以前の特別養護老人ホームの利用者負担は一律で、病院に入院するより安かったため、入所待機者を激増させた。

介護保険以前の措置時代は、支払い能力に応じた応能負担なので×ですね。

老人医療制度の問題点

介護制度が整備されていないので、治療が終わっても介護のために長期入院を続ける「社会的入院」が発生。このせいで医療費の増大が問題視されるようになりました。

ちなみに老人医療制度とは、現行の「後期高齢者医療保険制度」の前身の制度のことです。

介護保険制度の目的

以上の問題点を解決するために作られたのが介護保険法を根拠とする介護保険制度です。

介護保険制度のねらいは次のとおり

  • 社会保険方式を導入し、保険料を徴収することで財源確保
  • 利用者本位で自らサービスを選択できる
  • 高齢者増加や家族機能の変化などの問題に対応するため、制度として高齢者介護を社会全体で支援する
  • 介護保険法の条文確認

    過去問では法律の条文から出題されているので、介護保険法の目的などについて法律も押さえておきましょう。

    「介護保険法」で検索すると「e-Gov(イーガブ)」という総務省の法令まとめサイトが出てくるので、一度法律の条文を直接みてみることをおすすめします。

    法律では一番最初に「目的・理念・考え方など」の重要なことが書いてあります。法律の条文と聞くと構えてしまいますが、わからない言葉は飛ばして、第6条くらいまでサッと目を通すだけでも、介護保険法の雰囲気をつかめます。

    ここでは第1条(目的)、第2条(給付)、第4条(国民の努力及び義務)をまとめたものを掲載します。

    第1条(目的)まとめ

    加齢に起因する疾病等により要介護状態となった者が尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、保健医療サービス及び福祉サービスの給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、必要事項を定め、国民の保健医療の向上と福祉の増進を図る

    もう少しかみくだくと、

    歳をとって介護が必要になっても尊厳と自立した日常生活が大事だよね。だから全員で同じ理念をもって介護保険制度を作って保健医療と福祉を向上させよう!

    ということになります。
    第2条(給付)まとめ

    • 保険給付は要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するとともに、医療との連携に十分配慮する。
    • 保険給付は被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供する。
    • 保険給付の内容及び水準は、可能な限り居宅において、自立した日常生活を営むことができるように配慮する。

    いったん過去問をはさみましょう。

    過去問(第19回出題)[br num="1"]介護保険法第1条又は第2条に規定されている文言はどれか。3つ選べ

    1. 自立した日常生活
    2. 要介護状態等の軽減
    3. 医療との連携
    4. 利用者主体
    5. 介護の社会化
    どうでしょう?

    答えは1、2、3ですね。4と5についてもその趣旨は条文に書かれていますが、「文言」としては登場していないので×です。

    4と5についても介護保険制度の重要なキーワードなので、個人的には「この問題に何の意味があるの?」と思ってしまう微妙な問題ですが、こういう問題もあるので注意です。

    ひきつづき条文を確認していきましょう。
    第4条(努力と義務)まとめ

    • 自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努める
    • 要介護状態となっても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努める
    • 共同連帯の理念に基づき、介護保険事業に要する費用を公平に負担する

    またまた過去問を解いてみましょう。

    過去問(第20回出題)[br num="1"]「国民の努力及び義務」として介護保険法第4条に規定されているものはどれか。3つ選べ

    1. 常に健康の保持増進に努める
    2. 自立した日常生活の実現に努める
    3. その有する能力の維持向上に努める
    4. 地域における互助に資する自発的活動への参加に努める
    5. 介護保険事業に要する費用を公平に負担する
    わかりますか?

    正解は1、3、5です。2番が迷うところですね。

    まとめ

    【従来の制度の問題点】[br num="1"]・措置制度[br num="1"]・応能負担による負担の偏り[br num="1"]・財源が租税のみ[br num="1"]・社会的入院[br num="2"]

    【介護保険制度のポイント】[br num="1"]・利用者本位の選択制[br num="1"]・社会保険方式で保険料を徴収[br num="1"]・旧制度の重複や不整合を解消[br num="1"]・要介護高齢者の増加や家族機能の変化へ社会全体で取り組む仕組み[br num="2"]

    【学習のポイント】
    過去問では条文から出題もあるので、重要なはじめの方の条文は確認する

    お疲れさまでした!

    次回の講座はこちら>>>【ケアマネ試験講座~第2回】社会保障と社会保険の種類、介護保険の分類は?

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