今回のテーマは「介護保険法から条例への委任」です。
前回は保険者や都道府県の事務内容をメインにお伝えしましたが、その中でも、内容を自ら条例で決めるよう委任されているものがあるのでご紹介します。
条例への委任
介護保険法では、地域の実態に応じて各保険者や都道府県が内容を決めた方がいいことについては、条例で内容を決めるようそれぞれに委任しています。
市町村条例へ委任される主な事項
- 介護認定審査会の委員定数
- 区分支給限度基準額の上乗せ
- 種類支給限度基準額の設定
- 福祉用具購入費と住宅改修費の限度額上乗せ
- 市町村特別給付
- 第1号被保険者の保険料率の算定
- 普通徴収の保険料納期
- 保険料の減免や徴収の猶予
- サービス提供事業所等の人員、設備、運営の基準
都道府県条例へ委任される主な事項
- 介護保険審査会の委員定数
- 介護老人福祉施設(特養)の入所定員
- サービス提供事業所等の人員、設備、運営の基準
過去問(第18回出題)[br num="1"]介護保険法において市町村の条例で定めるものはどれか。2つ選べ。
- 介護保険審査会の委員の定数
- 普通徴収に係る保険料の納期
- 第1号被保険者の保険料率
- 指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準
- 区分支給限度基準額を上回る額の種類支給限度基準額の設定
正解は2番と3番です。
1番はひっかけですね。「介護保険審査会」の設置は都道府県の事務で、委員の定数は都道府県条例に委任されています。市町村条例で定めるのは「介護認定審査会」の委員定数です。
4番も都道府県条例で定める内容。
5番は即切りの選択肢。例えば、区分支給限度(サービス全体の上限)が5,000単位なのに、種類支給限度(特定の1サービスの上限)を6,000単位にしても意味がないですね。
保険者と都道府県の担当サービスの整理
上の方で書いたように、保険者と都道府県ともに、条例へ委任されるものとして「サービス提供事業所等の人員、設備、運営の基準の設定」がありましたね。
前回の第3回講座でも、保険者と都道府県の事務として、サービス提供事業所等の基準設定のほか、指定、指定更新、指導などがあると解説しました。
ここでは、あらためて保険者と都道府県のそれぞれの担当サービスを整理します。
保険者の担当 | 都道府県の担当 |
・居宅サービス※[br num="1"]・介護予防サービス※[br num="1"]・介護老人福祉施設(特養)[br num="1"]・介護老人保健施設[br num="1"]・介護医療院[br num="1"]・介護療養型医療施設 | ・地域密着型サービス[br num="1"]・地域密着型介護予防サービス[br num="1"]・居宅介護支援※[br num="1"]・介護予防支援※ |
保険者の担当は、「地域密着型サービス」と「ケアマネ系」
都道府県の担当は「サービス系」と「施設」
それぞれ担当分のサービスの基準設定、事業所の指定、指導などを行います。
※印がついているものは、基準該当サービスも担当となります。
まずは過去問(第17回)の選択肢から抜粋した〇×です。
1.市町村の条例で区分支給限度基準額を上回る額を定めることができる[br num="1"]
2.種類支給限度基準額は、都道府県の条例で定める
もう1問確認しましょう。
過去問(第16回出題)[br num="1"]事業者や施設の人員・設備・運営に関する基準が都道府県の条例に委任されている介護保険サービスはどれか。3つ選べ。
- 指定居宅サービス
- 指定居宅介護支援
- 指定介護老人福祉施設
- 基準該当介護予防サービス
- 指定地域密着型サービス
どうでしょうか?
おわりに
保険者と都道府県の内容を入れ替えた問題は頻出なので、しっかり覚えましょう。
今回はこれで終わります。お疲れさまでした。
次回の講座はこちら>>>【ケアマネ試験講座~第5回】過去の介護保険制度改正のポイント