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【ケアマネ試験講座~第4回】介護保険法から条例への委任

今回のテーマは「介護保険法から条例への委任」です。

前回は保険者や都道府県の事務内容をメインにお伝えしましたが、その中でも、内容を自ら条例で決めるよう委任されているものがあるのでご紹介します。

条例への委任

介護保険法では、地域の実態に応じて各保険者や都道府県が内容を決めた方がいいことについては、条例で内容を決めるようそれぞれに委任しています。

条例とは地方公共団体が独自に制定するルールで、その地域内でのみ有効。国が定める法律などと整合性をとる必要がある。

市町村条例へ委任される主な事項

  • 介護認定審査会の委員定数
  • 区分支給限度基準額の上乗せ
  • 種類支給限度基準額の設定
  • 福祉用具購入費と住宅改修費の限度額上乗せ
  • 市町村特別給付
  • 1号被保険者の保険料率の算定
  • 普通徴収の保険料納期
  • 保険料の減免や徴収の猶予
  • サービス提供事業所等の人員、設備、運営の基準
第3回講座の「保険者の事務」として紹介した内容とも重複しますが、上記に挙げた事項については、保険者がその内容を条例で決めるように介護保険法から委任されています。
用語解説市町村特別給付:介護保険法で決められた法定サービス以外の「条例で定めた市町村独自のサービス」。例えば、認知症高齢者の見守りや話し相手になるなど本来給付対象外のサービスを特別給付している例がある。[br num="2"]普通徴収:保険料の払い方で納付書払いのこと。年金天引きで払うことを特別徴収という。

都道府県条例へ委任される主な事項

  • 介護保険審査会の委員定数
  • 介護老人福祉施設(特養)の入所定員
  • サービス提供事業所等の人員、設備、運営の基準
保険者と都道府県、それぞれの条例に委任される項目を確認したところで過去問を解いてみましょう。

過去問(第18回出題)[br num="1"]介護保険法において市町村の条例で定めるものはどれか。2つ選べ。

  1. 介護保険審査会の委員の定数
  2. 普通徴収に係る保険料の納期
  3. 第1号被保険者の保険料率
  4. 指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準
  5. 区分支給限度基準額を上回る額の種類支給限度基準額の設定
どうでしょうか?

正解は2番と3番です。

1番はひっかけですね。「介護保険審査会」の設置は都道府県の事務で、委員の定数は都道府県条例に委任されています。市町村条例で定めるのは「介護認定審査会」の委員定数です。

4番も都道府県条例で定める内容。

5番は即切りの選択肢。例えば、区分支給限度(サービス全体の上限)が5,000単位なのに、種類支給限度(特定の1サービスの上限)を6,000単位にしても意味がないですね。

保険者と都道府県の担当サービスの整理

上の方で書いたように、保険者と都道府県ともに、条例へ委任されるものとして「サービス提供事業所等の人員、設備、運営の基準の設定」がありましたね。

前回の第3回講座でも、保険者と都道府県の事務として、サービス提供事業所等の基準設定のほか、指定、指定更新、指導などがあると解説しました。

ここでは、あらためて保険者と都道府県のそれぞれの担当サービスを整理します。

保険者の担当 都道府県の担当
・居宅サービス※[br num="1"]・介護予防サービス※[br num="1"]・介護老人福祉施設(特養)[br num="1"]・介護老人保健施設[br num="1"]・介護医療院[br num="1"]・介護療養型医療施設 ・地域密着型サービス[br num="1"]・地域密着型介護予防サービス[br num="1"]・居宅介護支援※[br num="1"]・介護予防支援※

保険者の担当は、「地域密着型サービス」と「ケアマネ系」

都道府県の担当は「サービス系」と「施設」

それぞれ担当分のサービスの基準設定、事業所の指定、指導などを行います。

※印がついているものは、基準該当サービスも担当となります。

基準該当サービスとは事業所がサービスの指定を受けるための基準を一部満たしていないが、市町村の判断で保険給付対象としたもの。[br num="2"]例えば、ショートステイの事業所数を確保するため、部屋の広さが設備基準を満たしていなくても基準該当ショートステイとして指定するなど。
最後に条例委任に関していくつか過去問を確認して終わりましょう。

まずは過去問(第17回)の選択肢から抜粋した〇×です。

1.市町村の条例で区分支給限度基準額を上回る額を定めることができる[br num="1"]
2.種類支給限度基準額は、都道府県の条例で定める

正解は、1は〇、2は×ですね。種類支給限度は市町村の条例です。

もう1問確認しましょう。

過去問(第16回出題)[br num="1"]事業者や施設の人員・設備・運営に関する基準が都道府県の条例に委任されている介護保険サービスはどれか。3つ選べ。

  1. 指定居宅サービス
  2. 指定居宅介護支援
  3. 指定介護老人福祉施設
  4. 基準該当介護予防サービス
  5. 指定地域密着型サービス

どうでしょうか?

正解は1、3、4です。ケアマネ系と地域密着サービスは保険者が条例で決めることでしたね。

おわりに

保険者と都道府県の内容を入れ替えた問題は頻出なので、しっかり覚えましょう。

今回はこれで終わります。お疲れさまでした。

次回の講座はこちら>>>【ケアマネ試験講座~第5回】過去の介護保険制度改正のポイント

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